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コロナがもたらす住宅産業変革のポイント
〜ウィズコロナ渦を生き抜くポイントとは〜

スタッフコラム

APR25, 2020 / Written by 佐藤政嗣

コロナがもたらす住宅産業変革のポイント<br>〜ウィズコロナ渦を生き抜くポイントとは〜

コロナウイルスの危機は、世界中の全ての人々の暮らしや経済活動に多大な影響を与えています。
特に都心部では、緊急事態宣言により、大型の百貨店も休業するなど、街の様子もすっかり変わってしまいました。
地方では都心部ほどの影響は少ないかもしれませんが、コロナウイルスの影響は確実に広まってきています。
大きな問題は「無自覚無症状がある、潜伏期間が非常に長い」という点でしょうか。
これにより、気がつかない間におおきくウイルスがが広まり、身の回りの高齢者や既往症のある方が亡くなってしまうということが起こります。

このやっかいなウイルスですが、すぐに収束するめどはまだ立っていません。
まず、ワクチンですがおそらく開発し、一般に広まるには数年かかるとおもわれます。
そうなると、それまでの間は大きな感染を防ぐために、自粛した生活や経済活動を抑えることが求められます。
その期間はおそらく2021年末くらいまでは続くと考えられます。

そして、コロナが収束した後の「アフターコロナ」としての新しい社会についても考えていく必要があります。
この状況に対応するために、私たちはどのように考え、行動していけばよいのでしょうか? コロナウイルスの危機がもたらす変化とそれに伴う社会のアップデートについて考えていきたいと思います。

 

アップデート1.打ち合わせや会議の方法

 

働き方改革の実施により、いままでの働き方を変えていく動きがありました。
それが、コロナの影響により、働き方の変化のスピードは劇的に進んでいく可能性があります。
アフターコロナの時代は、リモートで働き、ビデオ会議で物事が決定されることが基本となり、対面での打ち合わせや会議は減っていくと考えられます。今は、ビデオ会議を始めたばかりで、慣れずに不便さを感じる人も多いかもしれません。
しかし、この状況が続けば、かなりの数のビデオ会議を経験していくことになるでしょう。数を重ねていくうちに、多くの人にとってビデオ会議が当たり前になっていくと思われます。

例えば、LINEでのコミュニケーションが当たり前になったように、会って話す代わりに、ビデオ会議をする。というように考え方が変わっていくでしょう。一部のベンチャー企業などで特別に行われているイメージだったビデオ会議。これからは、大手企業や保守的な会社でもビデオ会議を使うことが普通になっていく、という変化が起きています。

これからは、初めて打ち合わせをセッティングする場合、「まず、ビデオ会議で話しませんか?」と提案しやすくなっていくでしょう。そして、そのような考えが浸透していき、ビデオ会議が今を凌ぐためのものではなく、当たり前のものとなり、新しいスタンダードになっていく可能性があります。

 

アップデート2.人と会うことの価値

 

打ち合わせや会議をオンライン上で行うことが基本になったとしても、人と直接会うことがなくなるわけではありません。しかし、その価値は変わっていきます。例えば、移動の時間に往復で1時間かかったり、交通費や出張費、暑さ・寒さや悪天候への対応や、場所のセッティングなど、対面で会うということはビデオ会議と比べると、様々なコストがかかります。

そのコストをかけてまでリアルで会うかどうかの判断が、今まで以上にシビアに行われていきます。お互いに会うことの価値を見いだせた場合に、直接の対面は実現していくでしょう。
例えば、有名人や憧れの人と会う機会があったとしたら、その時間は自分にとって大切で、得難い時間だと感じられると思います。それと同じくらいに、これからは誰かと対面で会う時間は、お互いが貴重で大切であると判断した時間になっていきます。

 


アップデート3.時間の管理

 

ビジネスにおいての、時間単位や時間管理のやり方も変わっていくでしょう。
以前であれば、打ち合わせの平均時間は、1時間くらいだったのではないかと思います。ビデオ会議が基本となると、平均的な打ち合わせの時間も短くなっていくと考えられます。1回の打ち合わせの時間単位が変化していきます。移動時間もなくなり、会議がいつでもすぐに始められるようになるので、平均的なミーティングの長さも15~30分ほどに短縮されていくことが予測されます。

例えば、午前中に取引先と30分の打ち合わせをし、その日の夕方にもう一回、打ち合わせをする。

というような、今までなら不可能であったことも、ビデオ会議であれば実現します。
今までの対面での会議は、準備コストが高く、細かくセッティングすることはできませんでした。ビデオ会議であれば、準備コストが低く手軽なので、1日に複数回開催することもできます。
また、住宅工務店での営業はお客様が休日である、土日に集中していました。これからは、平日の夜や日中のお客様の隙間時間などで行うことも可能になり、営業のチャンスは広がることでしょう。

分刻みでのビデオ会議が1日に何度もセッティングされていくことで、今まで以上に細かく時間管理していくことが必要になります。
営業においては、接客できる人数が増していくはずですので、売り上げにつながるチャンスも増えていくでしょう。

 

アップデート4.オフィスの形態

 

在宅でのリモート勤務を始めた人たちは、満員電車に乗ることをやめ、在宅での勤務が一般的になっていくことが予測されます。このような状況が進むと、今ある都心のオフィスは必要性が失われていきます。

都心の一等地に綺麗なオフィスを持つことが、人材獲得や仕事の効率に対して有利に働かなくなります。また、今まではごく一部であった在宅勤務が一般化していく中、フリーランスとして個人で仕事を請負って、自宅で仕事をするという働き方も増えていくことが予測されます。

このままリモートワークが進むと、都内のオフィス全体床面積は、大幅に縮小していくことも考えられます。会議室などは最低限で、外部の施設を活用していくような形になるでしょう。そして、都内にオフィスを構える必要がなくなれば、東京に集中していた企業の地方移転が増えていくことも予測されます。また、三密に代表される従来の島型のオフィス・デザインはなくなるのではないでしょうか?

オフィス、ビルもリノベーション需要が一気に高まるでしょう。特に通気や空調が最重要課題となり、空調産業の成長は著しいものとなるでしょう。

 

アップデート5.街の形態と地方の価値

 

アフターコロナの社会では、産業革命以降の効率化社会からの脱却がはじまるのではないでしょうか。

それにより、街の形態もアップデートされていくでしょう。
今回のコロナがもたらしたことは、人口”密”度を上げて高い生産性を上げることのリスクを示しました。密集型の都市には、ウイルスの感染が一気に広まってしまうという脆弱性があることがわかり、これからは密度を分散するという流れが起こるはずです。
例えば、アメリカの様に、政治の中心はワシントン、経済や文化はニューヨークというような形で首都機能を分散していけば、感染リスクはもちろんのこと、東京に危機が訪れた際のリスクヘッジにもなり得ます。

また都市で働いていた人が地方へ移住することで、都市圏での着工戸数は減少し、その分地方での住宅着工戸数が増えるなどの変化が起きると想定します。
そうした動きはスマートシティ(都市化)が訪れ、自動運転技術が発展すると共に、地域の価値が上がり、地方のニーズが高まるというプロセスを経て現実化すると予測されていました。
しかし、今回のコロナによってその変化が一足飛びに起きるのではと想定しています。

 

VR技術が飛行機で移動することの代替となっていったり、都市部に住むファミリーが地方に移住することをためらう一番の理由であった教育の問題なども、オンラインでつながることで解決されていくでしょう。
医療体制も遠隔での診療が可能になれば、その流れが一気に進むと考えられます。
この時代を生き残ることができれば、地域の住宅工務店にたくさんのチャンスが巡ってくるのではと想定しています。

 

まとめ

 

働き方や、オフィス形態、企業のあり方、会議の捉え方、街の機能。
このコロナウイルスの危機の中で、未だかつて経験したことのないような大きな変化が、世界規模で着実に進んでいます。極限までデジタル化が進んでいくと、リアルであることの価値も大きく変わっていきます。

これから変化していく社会にどう対応していくかについては、わからないことも多いのが現状です。
だからこそ、私たち一人一人が考えていくことが大切になってくると思います。

そして、これからの社会についてのヒントやきっかけになるような、オンラインセミナーの開催も予定しています。
この危機を乗り越えた、新しい社会についてぜひ一緒に考えてみませんか。

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