地域経済を牽引する存在として
ハウスメーカーにはない、地域工務店ならではのポテンシャル。そのひとつは、まちの経済活動におけるリーダーになり得ることではないでしょうか。「いきなり何を言っているのか?」とお思いの方もいるかと思いますが、自覚があるにせよないにせよ、地域工務店は、「そのまちで最もお金を使っている企業のひとつ」であるケースが多いんです。
まず、住宅建設には大量の資材や部材が必要になります。これらは非常に原価率が高く、住宅工務店の売上の実に8割を原材料費が占めるとも言われています。また、近年、「地産地消」にこだわり、木材や鉄などの地域材を使う住宅工務店が増えているため、まちに及ぼす経済効果は大きなものになっています。
さらに、地域発のフリーペーパーなどへの広告出稿、工具や建材の調達、従業員や職人さんたちによる飲食店の利用などの経済効果も小さいものではありません。あなたが経営する工務店があるからこそ成り立っている店舗や企業も少なくないのではないでしょうか。
特に地域工務店の広告費の使い方は特徴的で、売上げの約3%を広告費に使っている企業は非常に希です。売上げ規模10億円なら年間3000万円、20億なら年間6000万円……個人経営のパン屋さんや美容室などの出稿が多い地域媒体において、この数字は群を抜いていますし、地域経済への波及効果は大きなものです。これらの支出を、「まちへの投資」だと捉え直し、工夫していけば、まちをさらによりよくする原動力にもなり得えるのではないでしょうか。
地域工務店=まちの投資家という視点
つまり、地域工務店には、「まちの経済を支える投資家」の役割を担っている。そんな側面があるとも言えるのです。ただ、家を建て、人々の暮らしをつくるという以上に、大きな存在感を持つのが地域工務店……そう考えると、これからの時代に向けてできること、やるべきことが見えてくるのではないでしょうか。
とは言え、急に「地域工務店=まちの投資家」だと言われても、ちょっとイメージがしにくいですよね。そこで、今回のまとめとして、地域工務店とまちの価値との関係を、投資視点で書いていきたいと思います。
地域投資家として考える「まちの上場」
いわゆるスタートアップ企業が上場する際の構造として、企業の価値=時価総額は、売上×バリュエーション(将来性や存在価値……いわゆる「人気」)で決まっていきます。
時価総額=売上×バリュエーション(人気)
「なにもない田舎」とは少し軸が違いますが、少し前までなにもなかった東京の豊洲などは、この手法が功を奏して工事中の段階で価格が上昇し、開発費を回収しています。
まちの価値=現在のにぎわい×未来の人気
また、長崎の浜松建設が運営する「風の森」も、なにもなかった森の中に、さまざまな施設を開発し、人気を集め、近隣の土地の価値までも高めることに成功しています。
投資視点と言う意味では、現在の土地の価格の安さという部分も、非常に重要となります。ただ、田舎=安いというだけではなく、人気を得たエリアは着実に上がっていく傾向にあり、そいうった視点で見ても、「まちの上場」という考え方は非常におもしろい視点になりつつあります。
また、「人気」を高める起点となる拠点を自社で設計・建築できるという点、また、利用者となる地域住民とのつながりが強い点なども含め、地域工務店は、この領域の主役になれる業態なんです。
この辺りのお話は、私が書いているnoteにも詳しく書いていますので、合わせてご一読いただければ幸いです。