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新たな“地域工務店像”を考える#03 〜人を集め、にぎわいを生む拠点を原価で用意できる〜

経営コラム

APR12, 2021 / Written by 上村

新たな“地域工務店像”を考える#03 〜人を集め、にぎわいを生む拠点を原価で用意できる〜

「まちづくり」のカギを握る地域工務店の力


私たちSUMUSはこれまで、全国各地でまちづくりに取り組んできました。ここでいう「まちづくり」とは、主に、ほとんど価値がないとされてきた日本の「田舎」と呼ばれる地域の中に価値を見出し、その価値を引き出して、自社で土地や建物を購入したり、コンサルティングをしながら拠点をつくり、新たなにぎわいを創出するという取り組みのことを指します。前回のコラムでも書いていた「まちの上場」とも同じ意味です。

この「まちづくり」の事業のカギを握っているのが、他ならない地域工務店のみなさんなのです。言うまでもありませんが、みなさんは、私たちより遥かにそのまちに精通しています。これからつくる新たな拠点がどうあるべきなのか? 地元の人たちが何を望んでいるかをよく知っています。

さらに、開発した拠点で活動してくれる、地場産業の担い手や、飲食業に携わる人たち、工芸作家やアーティストといったものづくりに携わる人たちとのパイプも持っていることも多い。

そして、何より、まちづくりの核を担う拠点を、設計から施工まで原価でつくることができる。こんなポテンシャルを持っている企業は、地域工務店以外には存在しません。



中長期的な収益モデルとしての「まちづくり」


「まちづくり」というと、一時期流行った「地域創生」や「地域コンサルタント」などの言葉を思い出す方も多いと思います。
しかし、SUMUSが考える「まちづくり」は、収益化を視野に入れた投資事業であり、同時に、コラボレーションする地域工務店のプロモーションやブランディングともつながっているひとつのビジネスモデル。地域工務店のみなさんにとっても、私たちにとっても、持続可能なビジネスを成立させ、その中でまちへも貢献していく。ここが重要なポイントです。



「まちづくり」と土地価格の関係性


とは言え、ここで言う「まちづくり」が本当にまちの経済価値を上げるのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。そこで、近年、各地で見られるようになった「マルシェ」を例にご説明してみましょう。

地場の食材や工芸品などを扱うマルシェ。元はロンドン市内で盛んに行われて有名になったものです。実際にロンドンでは人気のマルシェの周辺200m圏内で土地の価格が上がるという現象がありました。これは日本国内でも同様の現象が起こっています。

しかし、すべてのマルシェがこうした効果を生み出せるわけではありません。マルシェは言わば、屋外に広がる大型店舗。人の流れや回遊率など、一定以上の建築・設計ノウハウがなければ、人気のマルシェをつくることは困難です。

しかし、多くの住宅や店舗などを手がけてきた地域工務店なら、決して難しいことではありません。「マルシェなんて設計したことがない」と思った方もご安心ください。これまで、未経験から、私たちと一緒にマルシェづくりを成功させている地域工務店もたくさんあります。ここでも、地域工務店のポテンシャルが大いに生きてくる。と言えるのです。


地域工務店だからこそできる半径200mの「まちづくり」


そもそも、「まち」とは何なのでしょうか? 私たちは、単に「人が住んでいる地域」のことを、「まち」だとは考えていません。改めてここで、私たちが考える「まち」の定義を解説していきたいと思います。



まず、半径200mの範囲に、上記の10以上のアクティビティが揃う場所をつくることこそが、SUMUSが考える「まちづくり」の基本となります。前述したマルシェも、半径200mのまちづくりの典型例です。そして、それぞれのまちで、マルシェやカフェ、複合施設など、半径200mの中心的となる拠点を原価でつくることができることこそが、「まちづくり」における地域工務店の優位性だと考えています。

また、その拠点に名前をつけ、宣伝広告費を集中し、ブランディングを行うことで、人気と認知を上げて、周辺で同じ名前を冠する分譲地を開発するという手法もあります。これは、最小限の宣伝広告費で分譲地の人気を上げられる、効率のいい投資のかたちです。実際にある地方都市でこうしたプロジェクトを進行中ですので、いずれ別の機会でご紹介できればと思います。



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