賃貸仲介産業が考えるべき、リードマーケティングの可能性
今回は、賃貸仲介産業におけるリードマーケティングについて、さらに深掘していきたいと思う。
「賃貸仲介産業におけるリードマーケティング【前編】」は
こちら→
http://sumus-home.com/column/47
基本的な考え方はこうだ。
多くの賃貸契約では、顧客は2年後に更新、あるいは解約を迫られる。解約を検討している一定数の顧客に対して、自社で2度目の
物件紹介の機会がもらえるかどうか。つまりリピート率。これが賃貸産業において将来の売上を保証する仕組みとなるのではないか。
ざっくりで計算してみよう。(移動平均で考えて欲しい)
賃貸仲介件数が毎年100件ある会社であれば、3年後に累積顧客は300件となり、その内、30%の顧客が1年間でリピートをしてくれれば、100件の仲介が可能となる。
つまり、新規のマーケティングコストをかけずに、例年通りの契約獲得が可能になる計算だ。
もちろん、細かい変数は加味していないため、正確な予測計算とは言い難い。ベンチマークが可能な企業があれば、細かい変数設定も可能だが、リードマーケティングのパワーを実感していただく上では、充分なシミュレーションだろう。
リードマーケティングを実践に向けて
では、実際に上記のような数字を実現していくためにはどうすべきか。リードマーケティングの実践には、一般的には2つのアプローチがある。
「顧客データの一元化」と「シナリオ設計に基づいた施策のオートメーション化」だ。
具体例でみていこう。あるリフォーム会社の事例だ。
先日のコラム『【前編】賃貸仲介業が考えるべきリードマーケティングとは』で述べた通り、顧客は平均すると6年に1回リフォームをする可能性がある。また、リフォーム業界では、台風シーズンの前に、外壁や屋根のリフォーム工事が発生するなど、季節ごとに重要が高まるタイミングがある。そこで、必要な情報を、必要な時に送ることが重要だ。
このリフォーム会社では、
・顧客の基本情報
・部位別のリフォーム実施状況
・前回のリフォーム完了日の日数
を顧客データとして一元管理し、
・次のリフォーム箇所のお手入れ方法を
・次のリフォーム箇所のニーズ発生する季節に
・次のリフォーム箇所のキャンペーン情報とあわせて
自動的に送る体制を構築している。
潜在顧客を一元管理し、マーケティングオートメイションによって、ニーズを顕在化させる。
これがリフォーム業界のリードマーケティングだ。
さて、賃貸産業に戻って考えてみよう。
賃貸産業における、理想的なリードマーケティング
賃貸産業では、例えば、引き渡しをした顧客の
・顧客の基本情報
・入居1年後の顧客満足度状況
・更新3か月前の顧客希望状況
を一元管理する体制を作り、
・入居後の満足度調査アンケート
・次に希望するお部屋の情報 + 希望に合わせた物件情報
・更新/解約調査アンケート
といった情報を自動的に配信する体制を作ることができれば理想だ。もちろんすべてを自動化する必要はない。営業スタッフが、一元化された顧客データを元に、一件ずつ電話連絡をする・・・といった手法を実践している会社もあり、効率はともかくとして成果をきっちりと上げているまとめると、まずは自社のリードマーケティングのパワーを測定し、顧客データの一元化を行い、顧客フォローをアナログでも行う事から第一歩が始まるということだ。
やらない理由を探す前に、まずは、実践に移してはいかがだろうか。