固定残業制度を導入している企業のイメージってどうでしょうか。恐らく多くの方が「ブラック企業なんじゃないの?」なんて印象を持っているかと思います。そこで今回は、労務士の方に実際に固定残業制度を導入している企業はブラック企業なのか、というところを質問していきたいと思います。
(左)SUMUS事務局代表 住宅企業コンサルタント:東郷博之
(右)社会保険労務士:松原清人
住宅コンサルタント 東郷博之(以下、住宅コンサル):早速ですが…単刀直入に聞きます。「固定残業制度」を導入している企業ってブラック企業が多いのでしょうか?
社会保険労務士 松原清人(以下、社労士):答えとしては、「ブラック企業もあるし、そうでない企業もある」という答えになってしまいます。笑
住宅コンサル:まあそうですよね…では、どうして固定残業制度を導入していると「ブラック企業」というイメージが強いのでしょうか?
社労士:特に若い世代の方には、固定残業制度=ブラック企業というイメージがついているのは確かにあると思います。これは、過去に固定残業制度を導入していた企業が不正な給与受給をしていた、というイメージがあるからだと考えられます。
実際、固定残業制度を導入している企業の不正給与支給の問題として以下のような事例があります。
・固定残業時間を超えたにもかかわらず、追加の残業代を支給しない
・固定残業手当の計算方法が不正
・みせかけの給与は多いが、実際の基本給は低額だった
などがあります。こういった悪いケースが世間的に取り上げられ、結果として固定残業制度自体が問題視されてしまいました。それによって固定残業制度=ブラック企業というイメージがついてしまっているのだと思います。
それに加え、各個人が固定残業制度の仕組みをしっかり理解していないため、という理由も少なからずあるでしょう。
住宅コンサル:一度定着したイメージってなかなか払拭できないですもんね…ちなみに、固定残業制度の仕組みを理解していないというのはどういった点の事でしょうか?
社労士:多くの方は、「固定残業制度はいくら残業しても残業代は出ない」という誤った認識を持っています。
住宅コンサル:確かに「固定残業」という名前からも、そのような誤認を招きやすいのかもしれませんね…固定残業時間を超過した場合は、追加で残業代が支払われるという事をもっと多くの方に知ってもらえれば、イメージも変わるかもしれませんね。「固定残業手当の計算方法が不正」というのはどういう意味でしょうか?
社労士:例えばですが、固定残業時間が45時間に対して固定残業代が1万円しか払われなかったなどのケースです。これだけ極端な例であれば気が付くとは思いますが。
住宅コンサル:こういった固定残業制度での不正な支払い対し、抑制する取り組みなどはあるのでしょうか?
社労士:テックジャパン事件以降、政府としての監視も厳しくなっているのは間違いありません。ハローワークなどに求人を掲載する際も、
【1】固定残業代を除いた基本給の額
【2】固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
【3】固定残業時間を超える時間外労働、
休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
の3つの記載を徹底しています。
住宅コンサル:こういった取り組みで、不正支給している企業が少なくなれば良いですね…
最後になりますが、住宅不動産業で固定残業制度を導入する際に経営者が注意すべきポイントがあれば教えてください。
社労士:一番は、従業員の為を考えた制度になっているかという事です。支出を抑えたいがための制度は、従業員にとって不利益変更となり、結果として従業員の抱く不信感を増加させてしまう恐れがあります。固定残業制度を導入する際は、なぜこの制度にするのかを明確にし、従業員の納得のいく制度を作ることを意識すると良いでしょう。
住宅コンサル:そうですね。企業は社員が一番の資本と言いますから、従業員に不利益になるような制度にならないことを望みたいですね。
(左)SUMUS事務局代表 住宅企業コンサルタント:東郷博之
(右)社会保険労務士:松原清人
住宅コンサルタント 東郷博之(以下、住宅コンサル):早速ですが…単刀直入に聞きます。「固定残業制度」を導入している企業ってブラック企業が多いのでしょうか?
社会保険労務士 松原清人(以下、社労士):答えとしては、「ブラック企業もあるし、そうでない企業もある」という答えになってしまいます。笑
住宅コンサル:まあそうですよね…では、どうして固定残業制度を導入していると「ブラック企業」というイメージが強いのでしょうか?
社労士:特に若い世代の方には、固定残業制度=ブラック企業というイメージがついているのは確かにあると思います。これは、過去に固定残業制度を導入していた企業が不正な給与受給をしていた、というイメージがあるからだと考えられます。
実際、固定残業制度を導入している企業の不正給与支給の問題として以下のような事例があります。
・固定残業時間を超えたにもかかわらず、追加の残業代を支給しない
・固定残業手当の計算方法が不正
・みせかけの給与は多いが、実際の基本給は低額だった
などがあります。こういった悪いケースが世間的に取り上げられ、結果として固定残業制度自体が問題視されてしまいました。それによって固定残業制度=ブラック企業というイメージがついてしまっているのだと思います。
それに加え、各個人が固定残業制度の仕組みをしっかり理解していないため、という理由も少なからずあるでしょう。
住宅コンサル:一度定着したイメージってなかなか払拭できないですもんね…ちなみに、固定残業制度の仕組みを理解していないというのはどういった点の事でしょうか?
社労士:多くの方は、「固定残業制度はいくら残業しても残業代は出ない」という誤った認識を持っています。
住宅コンサル:確かに「固定残業」という名前からも、そのような誤認を招きやすいのかもしれませんね…固定残業時間を超過した場合は、追加で残業代が支払われるという事をもっと多くの方に知ってもらえれば、イメージも変わるかもしれませんね。「固定残業手当の計算方法が不正」というのはどういう意味でしょうか?
社労士:例えばですが、固定残業時間が45時間に対して固定残業代が1万円しか払われなかったなどのケースです。これだけ極端な例であれば気が付くとは思いますが。
住宅コンサル:こういった固定残業制度での不正な支払い対し、抑制する取り組みなどはあるのでしょうか?
社労士:テックジャパン事件以降、政府としての監視も厳しくなっているのは間違いありません。ハローワークなどに求人を掲載する際も、
【1】固定残業代を除いた基本給の額
【2】固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
【3】固定残業時間を超える時間外労働、
休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
の3つの記載を徹底しています。
住宅コンサル:こういった取り組みで、不正支給している企業が少なくなれば良いですね…
最後になりますが、住宅不動産業で固定残業制度を導入する際に経営者が注意すべきポイントがあれば教えてください。
社労士:一番は、従業員の為を考えた制度になっているかという事です。支出を抑えたいがための制度は、従業員にとって不利益変更となり、結果として従業員の抱く不信感を増加させてしまう恐れがあります。固定残業制度を導入する際は、なぜこの制度にするのかを明確にし、従業員の納得のいく制度を作ることを意識すると良いでしょう。
住宅コンサル:そうですね。企業は社員が一番の資本と言いますから、従業員に不利益になるような制度にならないことを望みたいですね。