今回は前回に引き続き、フレックスタイム制と裁量労働制についてお聞きしていきたいと思います。
住宅コンサルタント 東郷博之(以下、住宅コンサル):特にフレックスタイム制を導入するにあたっての、細かい設計について教えていただけますでしょうか?
社会保険労務士 松原清人(以下、社労士):はい。フレックスタイム制を導入する際に一番重要なポイントは「コアタイム」をいつにするかという事です。
住宅コンサル:コアタイムとは、必ず出社していなければいけない時間の事でしたよね?なぜそれを一番に考えるのでしょうか。
社労士:コアタイムは基本的に、会議や打ち合わせといった顔を合わせて情報共有しなければいけない時間に設定します。なのでその時間を軸にして設計していくことが、この制度をうまく運用していくための基本のポイントとなります。時間を決めた上で、制度の導入を会社単位にするのか職種単位にするのか、個人単位にするのかなどを決めていきます。
住宅コンサル:なるほど。会社単位・職種単位・個人単位と出てきましたが、この設計はどのような内容になるのでしょうか?
社労士:以下で簡単に説明します。
会社単位の場合:会社全体でフレックスタイム制を導入する場合は、出来るだけコアタイムを短くし、フレキシブルタイムを長くすることが効果的です。せっかく会社全体で導入したにもかかわらず、コアタイムが長ければあまり制度としての意味がありませんよね。
職種単位の場合:あらかじめ職種ごとに、フレックスタイム制が導入可能なのか、そして可能であるならどの時間帯に働くのが良いのかのヒアリングを行なうことが大切です。導入後にうまくいかないなんてことを未然に防ぐことが大切です。
個人単位の場合:一番自由度を高められる個人ごとのフレックスタイムでは、一日毎にフレックスタイムを変更できるなど、細かいルール作りも可能になります。個人の満足度は一番高くはなりますが、管理が難しいのであらかじめしっかり制度の理解を高めてもらうことが最大のポイントになります。
住宅コンサル:ありがとうございます。少し複雑になってきましたのでここで一度、裁量労働制とフレックスタイム制の導入時の注意点を簡単に整理して説明していただければと思います。
社労士:わかりました。
2つの制度を導入する際には、その会社の働き方に本当に適しているかを考えるという事が最大の注意点になります。当然、組織が大きくなったり、働き方が変わっていけば導入すべき制度もその都度考え直す必要がありますよね。
当然、従業員が少ないうちは個人にある程度の裁量権を持たせるのが良いかもしれません。ただ、規模が大きくなればなるほど規律を守って運用していけるルールを作る必要も出てくると思います。そのようなことをしっかりと念頭に置き、フレックスタイム制や裁量労働制に積極的にチャレンジしていくことが大切かと思います。
住宅コンサル:働き方の本質をしっかり見ながら柔軟に変化していくことが必要だという事ですよね。今回もありがとうございました!
次回は、それぞれの制度に対してより細かい点にフォーカスしてお話していただければと思います!