今回は、これまでのフレックスタイム制と裁量労働制の各制度について聞かせていただきましたが、より細かい内容まで少し踏み込んで聞かせていただければと思います。これまでの振り返りも含め聞いていきたいと思います!
住宅コンサルタント 東郷博之(以下、住宅コンサル):各制度を導入する際に対象となる業務を教えてください。
社会保険労務士 松原清人(以下、社労士):フレックスタイム制に関しては、特に制限はありません。エンジニアでもデザイナーでも営業職でも導入可能になります。
裁量労働制に関しては適応できる業務が決められており、特に「専門業務型裁量労働制」は、19業務に限定され、過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定を締結するという条件をクリアしなければ導入することができません。「企画業務型」も同様で業務が限定されています。
住宅コンサル:そうなんですね。両者の勤怠管理の必要性についてもお聞かせください。
社労士:勤怠管理については、各制度ともに必要です。時間外労働への賃金、深夜労働・休日労働に対する割増賃金の支払い義務があるので常に管理しておく必要があります。
住宅コンサル:勤怠管理しなくてよい!と思ってる人も多いようですし、注意が必要な点ですね。ちなみに、業務遂行の際の具体的な指示や命令に関しては決まりなどあるのでしょうか?
社労士:フレックスタイム制に関しては、「作業指示や命令をする」という事が前提になります。
逆に裁量労働制の場合は、細かい指示や命令は行なわないことを前提に考えられています。大手企業のようにマニュアルに沿った仕事の仕方を求める場合、裁量労働制は不向きであるという事です。
住宅コンサル:各制度の労働時間に制限などはあるのでしょうか?
社労士:もちろんあります。
フレックスタイム制の場合は、、通常の勤務制度の所定労働時間と36協定の時間外労働時間の合計の最大が労働時間の最大時間となります。
裁量労働制に関しては、深夜や休日勤務などの規制もなく、特に時間的な制限はありません。健康的な面を考慮したうえで、従業員自らが労働時間を決めます。
住宅コンサル:遅刻や早退、欠勤に対する控除についてはどのような決まりでしょうか。
社労士:裁量労働制に関しては、遅刻欠勤早退の控除はできません。フレックスタイム制では、日別の管理ではなく月別の管理を行います。繰越しに関しての取り決めは、あらかじめ労使協定で締結しておく必要がありますので導入の際は注意する点になります。
住宅コンサル:細かい点までご説明頂きありがとうございました。制度に対する知識や考え方について改めて認識することが出来ました!
次回、フレックスタイム制と裁量労働制については最後となりますが、最後に「フレックスタイム制」「企画業務型裁量労働制」「専門業務型裁量労働制」の導入のし易さについて触れていければと思っております。