労働者のキャリア形成を効果的に進めるための制度「キャリアアップ助成金」の内容が、平成30年4月1日から変更されました。特に正社員化に関する取り決めが今回の大きな変更点となっており、このタイミングでしっかり押さえておく必要があります。
今回は、そんなキャリアアップ助成金の主な変更内容と対応策について書いていきます。
キャリアアップ助成金(正社員化)の主な変更内容
キャリアアップ助成金(正社員化)に関して変更(追加)された条件は、大きく3つあります。これらは平成30年4月1日以降に正社員転換する場合に適用されるので、
平成29年10月1日以降に入社した従業員が対象になります。
まずは、自社に対象となる従業員がいるのかを判断し、そのうえで今回の変更に対応していきましょう。
①正社員化前から総額5%の賃金アップ
正規雇用等へ転換した場合、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金の総額を比較して、
5%以上増額している事。
※これに関してはどのように対応すれば良いか、後述いたします。
②正社員化コースの申請人数制限の増加
1年度・1事業所あたりの支給申請上限人数が、15人から
20人に変更。
③雇用期間が3年以内を対象
有期契約労働者から転換する場合、
対象労働者が転換前に雇用されていた期間が3年以下に限ること。
正社員化に伴う賃金アップへの今後の対応
賃金の支払い方法に関するところが今回の変更のメインなので、それに向けた中長期的なスケジュール管理が非常に重要になります。
対応策は以下のような内容が考えられますので、事前にしっかり確認しておくと良いでしょう。
基本給を調整するパターン
正社員後に基本給を5%上昇させる。
賞与又は諸手当で対応するパターン
①有期期間中には賞与を支給しないで、正社員後に5%分以上の賞与を支給する。
②正社員後に、5%以上の手当を支給する。
※賞与は、就業規則等において「支給時期」と「支給対象者」が明記されていることが必要です。
手当は、通勤手当・住宅手当・残業手当・休日手当・歩合給・精皆勤手当などは含まれません。
貴社の就業規則を確認し、上記のような規定例ではない場合は、至急ご連絡ください
このように、キャリアアップ助成金(正社員化)の変更に対しては、大きく分けて「
基本給で調整する方法」と「
賞与や手当で対応する方法」が考えられます。
賃金に対する変更は企業にとって大きな影響を与えるため、今後はそれに対する綿密な計画と打ち合わせが必要になります。